神獣
今年も残すところあと数時間です。
2005年という年は私にとって激動の年でした。 転職してみたり引っ越してみたり年末に給湯機がこわれて水浴びしかできなくなってみたり。 ブログを始めてみたり。 実はオフラインの身近な人々にはまったく内緒なので、不安だったんですが、なんとかぼちぼちと見に来てくれる方々がいて、ほんとによかった…(nyankoyaはスーパーびびりなのです…)。 みなさんほんとにお世話になりました。 また来年もよろしくお願いします! ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ 暗闇に、ひとすじの光明。 その冷たく鮮やかな月光の下、一年がゆっくりと頭を垂れる。 祈るような沈黙。 野外ホールでは、秒針のテンポで奏でられる「ボレロ」。 指揮者の正確なタクトが細い細い金の軌跡を描く。 張り詰めていく空気。 それはまるで指先で弾いたら、硬質な音が生まれそうなほどに。 オーケストラの長いクレッシェンドに合わせて、一年はその感覚のすべてを研ぎ澄ます。 間違いがあってはならない。 ほんの一瞬のタイミングを決して逃さぬように。 刻一刻とせまる時間。砂時計の最後の一粒が落ち切る瞬間に向けて、オーケストラが最上級のフォルテシモへの階段を駆け上がる。 そしてすべての針が重なる瞬間に時を止めて。 咆哮 指揮者がそっとタクトを降ろし、一年の咆哮に静かに耳を傾ける。 低く高く空に放たれた咆哮は、大気中を駆け巡り、ケガレをすべて巻き込んで虚空の彼方へと吸い込まれていった。 役目を終えた一年は、その場にどうと倒れると、後ろから駆けて来た新しい一年に一瞥をよこして、静かに消えていった。 かくて残されたのは、まっさらな一年と、ケガレなき清涼な大気。 無事に動き出した時を祝う幻のファンファーレを聴きながら、私はそっと目を閉じた。
by nyankoya
| 2005-12-31 18:16
| 創造の森
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