猫屋仲見世通り

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スイッチ

ひどい風邪をひきました。
会社を一日おきに休んだのなんて初めてだ。
若干五月病も入ってる…?

今週はたまった仕事をやっつける一週間。
自業自得ですがなんだかへこむので、坂本美雨とEGO-WRAPPIN’の新譜を購入。
ipodをきつく握り締めて出勤です。
癒し癒し。

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

空からひもがぶら下がっていた。
実家の寝室の照明についていたのにそっくりな。
ひとまずひっぱると、かちりと空が黄昏色になった。
もう一度引っ張ると藍の夜。
朝、昼、夜と繰り返して、ぽいと手放した。

駅にはひとつだけ変な形の改札。
ぺろりと流線形でさきっちょに鼠の飾り。
ためしにくぐると、誰もいないホーム。
電車は猫バス。
行き先は私の会社。
乗り込むと、にゃおーん!とひと鳴きして、走り出す。
強烈なGがかかって、毛皮の座席に沈められるほど。

デスクにもやっぱりボタン。丸くて赤い「退社」。
ぽちりと押すと、みんながたがたと席を立って、「お疲れ様ー」と帰っていった。

服屋のボタンを押すと、欲しかった服をもう着ていた。
映画館の行列のボタンを押したら、コーヒー片手に真ん中の座席で予告編を見ていた。

なんだかとてもつまらない。

帰り道の銀杏の樹のレバーを倒したら、葉が色付いて秋が来た。

とてもとてもつまらない。

家に帰って、少し考えてから、枕元のリセットボタンを押して眠った。

思い通りもつまらない。
思い通りにいかないのもつまらない。

なんと身勝手な。

それでも明日はまた元通りの、退屈で愛しい日常。
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by nyankoya | 2006-05-30 09:42 | 心の裏側

千年王国

暑いです。
にゃんこやは暑さに弱い生き物なので、これからが大変。
今年の夏はどれくらい暑くなるのかな。

今年の夏は観葉植物をいっぱい買って、屋内ジャングルを作りたいと密かにたくらんでいます。

季節の移り変わりを感じる時、私の周りにいる人達の優しさを知った時、世界がゆっくりと確実に回っていることを思い出します。
「千年王国」ってきっとあるんじゃないかと思えます。

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風に色が付いているのを確かに見た。
昼下がりの雨上がり。
空より青くて水より淡く。
目の端を横切って螺旋形に散った。

野良猫の生命の音を聞いた。
心臓のたてる温かな響きと血の巡る緩やかな音。
てのひらを差し出すと、にゃあああご、と鳴いて額をすりつけた。
髭の先のそよぐ。

道行く人の胸に明かりが燈っているのを見た。
夜道をほのかに照らす、白熱灯に似た揺るぎなさ。
調子っぱずれの鼻歌。
ここがどこなのかどうでもいいことさ、と。

夜空に星の見えない都会の真ん中で、足元に星を見た。
無数に撒かれて天の川を作る。
もう準備は出来ているのだ。
人は皆、行くべき場所を知っている。

ここをたどれば、きっと千年の王国へ行ける。
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by nyankoya | 2006-05-22 09:29 | 心の裏側

慈雨

東京はもはや梅雨に入ろうかというくらい雨、雨、雨。
気圧の変化に弱い私は、緩い頭痛を抱えつつ、今日も青空柄の傘で出勤です。

洗濯はお預けだけど、頭もどんより痛いけど、雨降りは好きなのです。

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雨の日にビー玉を拾った。
青くて中に虹が閉じ込められた小さなガラス。
かわいかったので持って帰って、小物入れに鍵と一緒に入れておいたら、朝には女の子になっていた。

おかっぱ頭にブルーのワンピースを着て、きょとんと床に座っている。
ちょっとびっくりしたが、時間もないので、朝ご飯を一緒に食べて、鍵を預けて会社に行った。

雨がずっと降り止まない。

帰ると台所が目茶苦茶になっていて、隅でしくしくと泣いている。雨粒みたいな涙。

「ごはんを作って待っていようと思ったの」
うん
「でもシンクが高くて」
うん
「お鍋が重くて」
うん
「お味噌汁ひっくり返した」
うん、いいのよ。ありがとう。でもね、お味噌汁にツナ缶を入れるのはどうかと思うの。
味噌汁とともに散ったツナの残骸を見て、失敗してくれて良かった、とこっそり胸を撫で下ろした。

彼女は気を取り直したようにすっくと立ち上がると、ダイニングテーブルに向かってぽんと手を叩く。
瞬く間に豪華な食事が現れた。
ハンバーグコロッケパスタ刺身寿司七面鳥などなどずらりと並ぶ。
最初からこうすれば良かったのに、と言うと、
「心の問題だもん」
と憤慨する。大きすぎる私のエプロンの肩がずるりと落ちた。

冷めないうちにということで、片付けは後回しにして食事。
彼女は小さい体にどんどん食べ物を詰め込んでいく。
私も負けじと箸を動かす。
おいしいおいしいと言い合って、大きなパンをわけ合って、蟹の殻を剥いてやりながら、食べた。

一通り平らげて、台所の掃除をして、最後にふたりでお茶を飲んだ。

彼女はくいっと湯飲みを傾けて、ぷはぁっと溜め息をつくと、テーブルにちょこんと両手をついて頭を下げた。
「一宿一飯の恩義でございました」
そう言って、エプロンを丁寧に畳んで、玄関から出ていった。

もっといればいいのに。
ずっといればよかったのに。
誰かと食べるご飯はおいしかったのに。

切ない気持ちで玄関を開けると、雨が止んでいた。

またいつか、あのビー玉を拾ったら、今度は一緒に味噌汁を作ろうと思う。
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by nyankoya | 2006-05-18 09:45 | 創造の森

家守

連休が終わってしまいました。
会社へ行く途中で本気で迷子になってしまい、涙目で街を彷徨いました。
精神科へ行った方がいいのだろうか…。

連休中に実家が引っ越しをしました。
若干観光地で、静かな良い町です。
新しい家に大きな蜘蛛が住んでいました。


‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


蜘蛛の糸が指に絡んだ。

台所の端に、8本の長い足。
恐ろしくて近寄れない。
光る細い糸を吐き出して、するすると降りて来る。
その銀色にも見える丸い背。

「夜の蜘蛛を殺しちゃいけないのよ」
母が言う。

蜘蛛はものも言わずゆっくりと歩く。
換気扇の中へと消えていった。

おかしな夢を見て夜中に目が覚める。
延々と糸を紡ぐ夢。
紡いでも紡いでも、紡ぐべき糸が銀色の山となって、私をせかす。
そのうち糸巻きが足りなくなって、あふれる銀にいつしか私は溺れてしまうのだ。

布団から抜け出して、水を飲みに台所へ行くと、またあの大きな蜘蛛が壁に張り付いていた。
月明りが真っ暗な台所を照らす。
しばらく睨み合って、ふいに蜘蛛が動いた。
壁を這って、出窓の細く開いた隙間から、まるで月明りに誘われるように、するりと出て行く。
私が慌てて出窓に駆け寄った時には、もうその銀の背中は跡形もなく消えていた。

翌朝母はぽつりと言った。
「家を空け渡してくれたのね」

でも今でも時折、その柔らかくか細い糸が、指に絡む気がするのだ。
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by nyankoya | 2006-05-09 19:46 | 日々の類似品


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